あなたもモンスターペアレント予備軍?(その2)モンスターペアレントの5つのタイプ

まぐまぐ!のメールレポートから転載です。非常に興味深いです。
◆◆あなたに及ぶ影響とは?モンスターペアレントの種類とその特徴
モンスターペアレントをタイプ別に分け、その特徴や周りに与える影響などについて教育評論家の尾木直樹さんに伺いました。
尾木さんは、ドラマ『モンスターペアレント』の資料協力作である著作『バカ親って言うな!モンスターペアレントの謎』で、モンスターペアレントを以下の5タイプに分類しています。
なお、各タイプごとの事例は、尾木さんが所長を務める臨床教育研究所「虹」が行った『「モンスターペアレント」の実態とその背景 ~親と教師の相互理解に関する調査~』に寄せられた回答から抜粋したものです。
≪尾木直樹さんプロフィール≫
早稲田大学卒業後、海城高校、公立中学教諭を経て、現在、法政大学キャリアデザイン学部教授、早稲田大学大学院客員教授、臨床教育研究所「虹」所長。近著は『バカ親って言うな! -モンスターペアレント の謎』(角川oneテーマ21)など。
●あなたの周りにいませんか?タイプ別モンスターペアレントの事例紹介
【我が子中心型】
なんでも自分の子ども中心に考える過保護・過干渉な親
「自分の子は自分で守らなきゃ」という思いが強く、すべてにおいて「わが子中心」でなければ気がすまない「我が子中心型」。
何でも自分の子ども中心に考える過保護・過干渉なタイプです。
2000年以降に増えてきましたが、この時期から言われるようになった「自己責任」を誤解していることが多いようです。
事例1 自分の子に対して担任のとった問題解決策が、親が思っていたものと違ったとき、担任がノイローゼになるまで文句を言い続けた。また親のみならず、とりまきを使って問題を大きくしていった。
事例2 運動会の徒競走の順位に不満を持ち、着順で並んでいるところへ乗り込み、勝手に自分の子どもの順位を上げようとする(審判の判断に従わない)。
事例3 自分の子どもだけ大切にしてほしいと望む親。相手の子どもの立場や気持ちは全く関係なく、自分の子だけが楽しくあってほしいと話す人。遠回しな表現では聞こうとせず、強い口調で言わなくては会話も成り立たない。
≪周りの親と子が受ける被害≫
自分の子どもだけを守ろうとする姿勢は、「あの人があれほど言うなら、私も言わなきゃ損だ」というように他の親たちにも伝染していき、結果として親同士の関係性が崩壊することがあります。
≪モンスターペアレント自身の子どもが受ける被害≫
それぞれの親が「自分の子どもだけが幸せであればいい」という考え方に向かってしまうと、子ども同士も「自分さえよければいい」という意識をもとにぶつかることになる可能性があります。
【ネグレクト型】
子どもに無関心で育児全般が放任状態。児童虐待のパターン
「ネグレクト型」は、子どもにあまり関心がなく、子育て全体を放任状態にしている親たち。当然のことながら親としての教育責任も放棄しますが、その根底にあるのは大人として未熟で自己中心的な考え方です。学校で高熱が出ても迎えにも来ないため、教師や学校にとって非常に困った存在だそうです。
事例1 ケガをした子どもの親に、お迎えをお願いしたら、「仕事中なのになんで送ってこんか」と2時間ほど校長室で大きい声を出して帰っていかれました。
事例2 ある問題で子どもを注意したところ、子どもも納得し反省したので、そのことを親に報告した。すると次の日、子どもが「昨日は先生ごめんね。昨日お母さんが包丁を持って怒って『明日先生に謝りなさい』と言ったんだよ」。この話に次からどのように親と接してよいか考えてしまいました。
事例3 子どもの1日の様子(牛乳が飲めたこと)を親に伝えると「この子に興味がないんです」と言われた。
≪周りの親と子が受ける被害≫
ネグレクト型の親は、子どもが暴れまわったとしても学校からの相談や連絡を受け入れようとしません。そこで暴れる子どもはエスカレートし、他の子どもや親にまで直接的な被害が及ぶ可能性があります。
≪モンスターペアレント自身の子どもが受ける被害≫
ネグレクト型は親同士の関係性を築けませんから、他の親から反感を買います。そこで親も「そういう子とはつきあうのをやめなさい」と子どもに助言するようになり、モンスターペアレントの子どもも孤立してしまいます。
【ノーモラル型】
常識と非常識の区別がつかない親。近年急増しているタイプ
近年急速に増えてきた「ノーモラル型」は、常識と非常識の区別がついていないタイプ。サービス過剰社会の影響によるものか、学校や教師を「サービス業」と考えているふしがあり、教師の私生活を無視して深夜や早朝でもかまわず電話をかけてきます。親自身の生活のリズムも崩れています。
事例1 子どものことについて、(休日も)時間を問わずケータイに連絡を入れてくる。それが毎日、平均2~3時間という状況が2ヶ月ほど続いた。すべてのことについてどうしたらいいのかと対策、意見を聞いてきた。子どものけんかに夜呼び出されたこともあった。精神的に悩みました。
事例2 親が親になりきれておらず、子どもの将来を考えた家庭教育ができない。困ると夜遅くでも電話をかけて相談してくるが、気に入らないことがあると学校、担任、友達の親にも攻撃的になり、こちらの話を受けつけようとしない。
事例3 子どものことで教師を刃物でおどす。
≪周りの親と子が受ける被害≫
ノーモラル型がまわりの親に与える影響としては、集団化する恐ろしさがあります。メーリングリストを利用してグループをつくったり、お茶の席などでリーダー的な立場になって同志を集め結束し、ノーモラル型を量産するのです。
≪モンスターペアレント自身の子どもが受ける被害≫
ノーモラル型の親に育てられた子どもは、常識から逸脱した考え方や行為を引き継ぐことがあります。親の姿に抵抗を感じていたとしても主張が通らないことはわかっているので、そういう場合は殻に閉じこもるようになります。
【学校依存型】
家庭でやるべき雑事まで学校に頼んでくる、甘ったれた親
こちらも増加傾向にある「学校依存型」は、本来なら家庭でやるべき雑事や身辺の世話まで平気で学校に頼んでくるタイプ。学校や教師に対する駄々っ子のような甘えが前面に出ており、「体操着は学校で洗ってほしい」など身勝手な要求をしてきます。そういう意味では、自己中心的な親ともいえるでしょう。
事例1 夜10時半ごろ、コンビニにたむろしている中学生がいたので、早く帰るように言ってほしいと、その時間帯に、休日なのに電話がかかってきた。
事例2 「学校で爪を切ってほしい」「自転車の乗り方をもっと徹底的にやってほしい」と要望された。
事例3 朝、親子で起きられず学校からモーニングコールをし、家まで迎えに行った。
≪周りの親と子が受ける被害≫
学校依存型は要求が満たされなければ不満を感じるので、ノーモラル型と同様に周囲を巻き込んで同志を増やそうとする可能性があります。そこで異なる考えを持った親は、「反対しづらい」という居心地の悪い立場に追いやられます。
≪モンスターペアレント自身の子どもが受ける被害≫
親が学校を「サービス業」と考えている以上、その子どももそれを当たり前のことだと考えるようになります。よって「周囲よりも自分」という意識が増幅され、人間関係をうまく築くことができなくなります。
【権利主張型】
自分の要求を通すために法律や権利を振りかざす親
マスコミでも取り上げられる「給食費未払い問題」において、「義務教育なんだから払う必要がない」と主張する親が「権利主張型」の典型です。自分の要求を通すために法律や権利を振りかざし、些細なことでもすぐに教育委員会に訴えがちです。権利意識そのものに偏りがあるため、表現や行動に問題があるケースも多々見られます。
事例1 学級担任を変えろという親、幼稚園学児と担任がノイローゼになる。(原文ママ)担任の指導が悪い、不適格教員である、と県知事、教育委員会、市長、市教委教育長に訴えた。子どもは些細なことでキレる、暴力、暴れる…そうなるのは教師の指導力不足、対応の悪さであると親は言い張る。学校に50回以上来校し、時には深夜0時頃まで話し合いをした時もある。
事例2 事実でないことを、突然教育委員会に訴える親。毎年、担任や学校に文句を言い、定期的に教育委員会に行き、不満をいう親。子どもが起こした問題行動に対し、子どもを叱る前に、担任の責任だとどなりつける親。
事例3 部活動(運動部)で女子部員に身だしなみ(爪、髪)の指導をした。1人だけ個人攻撃をしたつもりは全くなかったが、父親が「先生に個人攻撃されると娘が訴えて泣いている。どういうことだ。教育委員会に言って免許剥奪までやる」と直接クレームを言いに来た。こちらは事情を説明したが、なかなか通じなかった。もともとの考え方が根本的に異なっている場合、どうしたら良いのか…と悩んだ。ある先生からは「そこに労力を使うより、ほかに目を向けた方が良い。そこは、いくら伝えようとしても無理」とのアドバイスをもらった。それも一理あるが、こういうことが多くなると、理想や情熱を持ってやってきた我々教員は一体何なんだろうとむなしくなる。
≪周りの親と子が受ける被害≫
権利主張型は、自己満足度だけから見た極端な基準で人を判断します。多くの場合、その矛先は教師に向けられますが、考え方の違う親が訴訟を起こされるということが起こる危険性も考えられます。
≪モンスターペアレント自身の子どもが受ける被害≫
権利を強く主張する親の姿を日常的に見ている子どもは、それを当然のことと考える可能性があります。逆に抵抗を感じていた場合、親の強さに抗えず「言ってもムダ」というあきらめの境地に達してしまうことがあります。
以上のように、モンスターペアレントは周囲に様々な影響を及ぼします。学校やクラス全体がよそよそしいムードになり、まとまりのないクラスになってしまう可能性は十分に考えられます。本当の意味での信頼関係を築けず、腹を割って話し合いができなくなるわけですから事態は深刻です。
また先生と親がぶつかる様子を見ていれば、子どもは不安な精神状態になり、心が安定しなくなります。そして親が先生を信頼できていなければ子どもも同じように信頼しなくなりますから、そこでまた悪循環になっていくでしょう。
先生の側からしても同じです。「また文句を言われるかもしれない」と思うと、その子との間に距離をあけるようになっていくのは自然な流れです。そうなると子どもは寂しさを感じますし、友達同士、クラス全体も仲よくなれないというわけです。
次回は、モンスターペアレント度チェックです!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です