赤ちゃんの免疫

赤ちゃんの免疫について
よく「赤ちゃんは免疫があるから大丈夫!」と言われますが、決して万能ではありません。何に効いて何に効かないのか?またいつまで有効なのかを知っておく必要があります。
●赤ちゃんの免疫のしくみ
・妊娠中にも、、、
実は、赤ちゃんはママのおなかの中にいる間にも、胎盤を通してママの抗体をもらっています。こちらの抗体は、「免疫グロブリンG」という名前。初乳に含まれている抗体とともに、病原菌の感染から赤ちゃんをしっかり守ってくれます。
・初乳
出産後2週間くらいの間に出る黄色がかった母乳が、「初乳」です。初乳は、消化吸収のよいたんぱく質を含んでいるスペシャルミルク。なかでも一番の特徴は、感染症から赤ちゃんを守ってくれる「分泌型免疫グロブリンA」という抗体や、インフルエンザや病原性大腸菌O-157などの悪い菌が赤ちゃんの体内に侵入するのを防ぐ「母乳シアル酸」という成分を豊富に含んでいることです。産後すぐの時期は、1滴でも多く初乳を飲ませてあげるとよいでしょう。
・生後6ヶ月をすぎると、、、
妊娠中にママからもらった抗体や初乳に含まれていた抗体の働きは、生後6ヶ月ぐらいになると弱まってきます。これまでにくらべると外に出る機会も増えますから、風邪などの感染症にかかりやすくなります。普段から病気や予防接種の知識をもって、赤ちゃんの健康状態に留意しましょう。
・病気によって違う有効期限
大まかな目安として、以下が期限とされています。
麻疹:生後3ヶ月までは非常に有効。生後8ヶ月をすぎると通常無効。
風疹:生後6ヶ月頃まで有効。
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ):生後10ヶ月くらいまで有効。
水痘(みずぼうそう):生後1ヶ月くらいまで有効。
百日咳:免疫はもらえない。
やはり数ヶ月経つと、赤ちゃんも風邪をひくことがあります。特におうちの中に風邪をひいた方がいるときは要注意です。
●母乳はやっぱり赤ちゃんの免疫を強化する(関連記事)
母乳で育った赤ちゃんは、免疫力が強くなって丈夫、とよくいわれるが、それを裏づける新しい証拠となるたんぱく質が見つかった。
カナダのトロント大学のマイケル・ジュリウス博士らの研究チームが、1月18日発表したもので、内容は、「米国立科学アカデミ-紀要」(Proceedings of the National Academy of Sciences )に掲載された。
ジュウリウス博士らは、母乳中に「CD14」と呼ばれる特殊なたんぱく質がふんだんにあって、それが免疫システムのなかで抗体をつくる働きのあるB細胞(Bcell)を多様化させるように刺激することを、突き止めた。
体を病原菌などの外敵から守るためには、さまざまな種類の抗体がつくられる必要があるが、そこで重要なB細胞の多様化をCD14というたんぱく質が進めるというわけだ。
この研究成果について、ジュリウス博士は「母乳が母親の抗体を赤ちゃんに譲り渡すことが知られていた。さらに、われわれの研究で、CD14というたんぱく質で、赤ちゃんが本来もっている免疫機能をスタートさせると、考えられる」と述べている。
この研究は、マウスで行われたものだが、その後、牛乳や人間の母乳にも、CD14が多く含まれていることがわかった。特に、初乳(出産後1~2週間の乳)には、CD14が豊富だという。

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